本物のバイクモデルを作り出すために これまでのバイクモデルでファンは満足しているのか? その疑問からミュージアムモデルZ1のプロジェクトはスタートした。

これまでスケールモデルの名の下に、多数のバイクモデルが世に送り出されてきました。ですがそれらのバイクモデルを見て、落胆したことはなかったでしょうか? 明らかに実車と異なるバランス、露出したネジ……。

バイクは、エンジンやフレームなど多数のパーツ群によってそのフォルムが構成され、クルマのようにボディの中にすべてを押し込んだものとは、比べ物にならないほど難易度の高い題材です。またキャラクターモデルのように、作り手のアレンジを加えてしまうのは論外。それゆえ、これまでのバイクモデルは、数々の妥協の上に成り立っていたといえます。それは、バイクの立体物が世に誕生してから一度も変わることのない事実。そして現在に至っても、本物を忠実に再現したバイクモデルは存在しません。

「どうすれば本当のバイクモデルを再現できるのか?」

すべての始まりは、純粋なバイクファンとしての欲求でした。 やまとが送り出す1/6ミュージアムモデルZ1は、実車の形状を忠実に再現するために、部品単位で3Dレーザースキャニングを敢行。本当のディティール、本当のバランスを数値化するために、あらゆる手段を講じました。無論、それだけで正確なデータを獲得できるわけではありません。
パソコン上で容易にシミュレーションが行えなかった時代、物作りを支えたのは職人の技でした。まさにその時代、70年代に産声を上げたZ1には、各所に職人の息吹が残されています。それら人の感性によって生み出されたディティールは、現代の技術をもってしても、スキャンするだけで容易に再現することは叶いません。職人の技に対抗できるのは、同じ職人の技のみ。数値化できないデータに関しては、これまでやまとが変形トイをはじめとする様々なモデルで培った技術によって補正を行い、最新技術と職人技術との融合によって、文字どおりZ1を1/6スケールで再現しました。それは、おもちゃの延長線上としてのバイクモデルではなく、いわば立体の図鑑と呼べるほどの完成度と言えます。

ミュージアムモデルZ1。
それは、バイクモデルの歴史を変える挑戦です。

KAWASAKI Z1とは?

1960年代末、カワサキは650ccバーチカルツインのW1を主力車種として世界へ送り出していた。だが、アメリカ市場における欧州車を駆逐するには至らず、新たに世界戦略車として、DOHC並列4気筒750ccエンジンを搭載したモデルを導き出す。
ところが68年、ホンダが同じ並列4気筒750cc(こちらはOHC)エンジンを搭載したCB750Fourを発表したことで、計画は方向転換。ノートンに対抗するために導き出された750ccという排気量は、ハーレーダビッドソン スポーツスターをターゲットとした900ccへと拡大する。こうして1972年に登場したZ1は、圧倒的なパワーと美しいスタイリングで世界を席巻。それまで市場の中心であった欧州ツイン勢を一掃するだけではなく、いまやバイクエンジンの基本形ともいえる「DOHC並列4気筒」というレイアウトすらも決定づける。
現在世に送り出されている4ストロークバイクは、少なからずZ1の影響のもとに誕生したといっても過言ではない。 その後、Z1は1977年にZ1000へとモデルチェンジ。だが、フレームやエンジンの基本部分はZ1から継承されるなど、後継車種の中にもZの精神は受け継がれていく。